第1章 緑色のキセキ。
片付けはあっという間に終わった。
「あの…ありがとうございました!」
神谷は俺たちに深々と頭を下げた。
「あぁ。ただ、一人で掃除するのは効率がかなり悪い。先輩なり顧問なりに直訴して人数を増やしてもらえ。」
赤司は溜息をつきながらそう言った。
その赤司の言葉に神谷は気まずそうに笑った。
あぁ、きっと彼女はこれからも一人で片付けを続ける。
明日も少し早めに自主練を切り上げて手伝いに行くか。
「よし、じゃぁ、帰るぞ。」
赤司のその声に全員が荷物を持ち、
歩き始めた。
「あの!」
彼女の呼び声に足を止める。
「お名前教えていただけませんか?」
彼女がそういうと、
全員が自分の名前を名乗った。
「君は?」
赤司は何故か神谷の名前を聞いた。
彼女の事を知っているはずなのに…
何故・・・?
「あ…えっと…神谷るりです!」
神谷は嬉しそうにそう笑った。
「るり…君には少し興味がある。また話そう。」
赤司はそういうとめずらしく少し顔が緩んでいた。