第1章 緑色のキセキ。
そんなこんなで俺が考え込んでいるうちに
女子バスケ部の連中が教室に戻ってきた。
「るりー。ノート写し終わった?」
「あ、うん。ありがとう。」
神谷は笑顔で机からノートを取り出すと、
その中の一人に返した。
「ねぇ、ノート貸してあげたかわりにぃー、コレ!やってくんない?」
女子バスケ部の連中はニヤニヤとしながら
神谷の前に大量のプリントを出した。
「え・・・?」
神谷は困惑した表情でそれを見つめた。
「今日出された国語の課題のプリント。うちらの分全部ね。いいよね?うちら友達だもんね?」
「…うん。そうだね。友達…だもんね。わかった。」
神谷は受け取るとソレを机の中へと入れた。
「るりちゃんありがとぉー♪大好きぃー♪」
猫なで声でそのうちの一人が神谷に抱きついた。
「う、うん!がんばるよ!」
神谷は嬉しそうににっこりと笑った。
なんだか見ていて胸糞悪かった。
彼女は本当にそれでいいのか?
まるでいいように利用されているようだった。
それからそういう場面を何度か見かけた。
でも、彼女はいつだって
ニコニコと笑っていた。
それが女子というものなのだろうか…?
俺にはわからなかった。