第1章 緑色のキセキ。
2年に進級すると、クラス替えがあり、
俺は神谷るりと同じクラスになった。
でも、彼女はまだ入院しているようで
学校に来る事はなかった。
担任も出席を取る時に
彼女の名を呼ぶことはなかった。
キラキラと輝いていた世界が
錆付いて見えた。
何度も病院にお見舞いに行こうかと思った。
でも、俺が行ったところで
きっと彼女は俺の事など覚えていない。
それを実感してしまうのが怖くて
何度も行く事を諦めた。
一目会いたいと言う欲求は
どんどんと加速していった。
それでも俺は
何も出来なかった。
6月に入り、
雨が降り続く。
彼女を初めて見つけたときも
この時期だっただろうか…?
朝からTVをつけると、
おは朝占いがはじまる。
"今日の第1位は蟹座のあなた!ずっと待ち望んでいた願いが叶う超ラッキーな日!ラッキーアイテムは豹柄の傘!"
おは朝占いを確認すると、
俺はラッキーアイテムを手に学校へと向かう。
今日は梅雨なのに晴れていた。
何か良い事がありそうだ。