第3章 黄色のキセキ。
ゆっくりと顔を近づけながら
そんな事を考えていると、
るりちゃんが俺の方を真っ直ぐ見詰めた。
その目は少しだけ涙目だった。
「あの…か、からかうの辞めてください…。」
微かに肩も震えていた。
あぁ。やっちゃった。
完全に怖がらせちゃった…のかな?
そういえばこの間灰崎に襲われたばっかりだった。
無神経だったな。
俺…何やってんだろう…。
「あ…ごめん…っス。」
俺はゆっくり彼女を放した。
彼女は安心したのか大きく溜息をついた。
「あの!黄瀬くん!」
「ん?何スか?」
「余計なお世話かもしれないけど、そういう事は好きな人にしかしちゃいけないと思います!」
「え?」
「た、確かに黄瀬くんみたいなカッコイイ人にそんな事されたら女の子はみんな嬉しいと思うけど…きっと勘違いしちゃうし…冗談でしていい事じゃないよ。」
「じゃぁ、好きな子にだったらしていいんスか?」
俺がそういうと、彼女はしばらく考えた。
「そう…ですね。相手も合意の上なら。」
「んじゃ、るりちゃん、キスしていい?」
俺がそういうとしばらく沈黙が続き、
るりちゃんは溜息をついた。
「だから、その冗談がダメなんですー!」
「…はは。ごめんっス。」
結構あっさり流されちゃったな。
本気とは思ってもらえないか。