第3章 黄色のキセキ。
正直、るりちゃんより可愛い女の子なんて腐るほどいる。
例えば雑誌の撮影現場。
モデル仲間の女の子は当然ながら可愛いし、
メイクさんもアシスタントさんも可愛い人が多い。
「ねぇー?涼太くん?どうしたの?ぼぉーっとしてぇー♪」
モデル仲間の杏里ちゃんが俺の顔を覗き込む。
小さな顔に大きくて丸い目、整った鼻に可愛いアヒル口。
「…杏里ちゃんって可愛いっスね。」
「へ!?やだー!もう!急に何?照れるんだけどぉー♪」
と、彼女は言いつつ言われ慣れている様子だった。
まぁ、俺もカッコイイって言われ慣れてるし一緒か。
にしても、
杏里ちゃんは絶対に可愛いはずなのに
何故かドキドキしない。
あ。そうか、手を握ってないからかな。
「ねぇ、杏里ちゃん手ぇ貸してほしいっス。」
「え?いいよぉー。」
彼女が差し出した手を握ってみた。
細くて華奢なキレイな手だった。
その手を握ってみるも、
ドキドキする事はなかった。
「やだー!もしかして涼太くん、私の事好きなの?」
彼女は体をくねらせながら聞いてきた。
「いやいや、それはないっス!ご協力ありがとうっス!」
俺はそういうとその場を後にした。
なぜ、るりちゃんにドキドキしてしまうんだろう。
…。