第1章 緑色のキセキ。
「彼女か。」
赤司はじっと神谷を見つめてそう言った。
「あぁ。」
誰が一目見てもわかるぐらい、
彼女の技術には周りと圧倒的な差があった。
彼女自身もそれを理解しているのか
無意識か、周りに決して頼ろうとはせず、
まるで一人きりでプレーしているかのようだった。
彼女以外の選手の顔は
なんだか淀んでいた。
恐らくチームの雰囲気は最悪であろう。
ほぼ全員が強すぎる彼女の事をよく思っていない。
彼女はそれに気がついているのだろうか…?
いや、気付いてはいないのだろう。
「…彼女は優れている。でもチームが最悪だ。もったいないが彼女はこれ以上は伸びない。戻るぞ。」
赤司はそういうとその場を後にした。
「あぁ。」
俺も後を追うように歩き始める。