第15章 二人の場所
私は待っていた。
彼が来てくれるのを....
その日が来るまで、私は絵本を作り続けていた。
彼との条件を守るために...
仕事は、やっぱり辛い状況だった。
時々、週刊誌を見たお客が私を見て噂をしていたが、
私は無視して仕事を続けた。
私は、この仕事を辞めるつもりはなかった。
彼が守ってくれた、この場所を..
だから、どんな事があっても平気だった。
「先輩、この本、今日届いたんですが、
どうしましょうか?」
後輩は相変わらず私に頼っていたが、
彼のおかげで私は店で孤独ではなかった。
彼にも感謝していた。
こんな私に思いを寄せてくれたから...
「それなら、新刊の棚に並べてくれる?」
「はい、並べて来ます」
彼はそう言うと、私の側から離れて行った。
私は、いつものように雑誌を並べていると、
また彼の足が見えた。
何かあったのかと思い顔を上げた。
「...どうしたの?何かあった、」
私の前に立ってたのは、錦戸さんでした。
錦戸「盆栽の本はどこ?」
少し照れ笑いして立ってた。
私は微笑み返し
「お客様、こちらになります」
そう言うと、彼をいつもの所に案内した。
やはり、植木コーナーには誰もいなくて、
二人っきりになった。
錦戸「やっぱ、ここには誰もおらんな」
周りを見回しなが言った。
「錦戸さん....」
錦戸「おん?」
私は、自分の気持ちを伝えようと決意した。
「私を愛してくれて ありがとうございました。
私、錦戸さんに会って 自分がどれだけダメなヤツか知りました。
そして、自分を好きになりました。
本当に、幸せです...」
私の素直な彼への気持ちだった。