第15章 二人の場所
私の言葉に、錦戸さんは少し驚いた様子だったが
嬉しそうに微笑んでくれた。
そして、一冊の盆栽の本を取りパラパラと見出した。
「あっ、私 仕事に戻らないと...それじゃ錦戸さん」
錦戸さんは、仕事に戻ろうとした私の腕を掴んだ。
錦戸「....なぁ、これなんやけどな?」
錦戸さんは、本のある部分を指した。
何か分からず、私は近寄りその部分を見ようとした。
「....えっ、どれですか?」
その時に、本で隠しながら
錦戸さんは私の唇に自分の唇を重ねた...
私は突然で何が起こったか分からず、
目をパチパチさせていた。
そんな私から唇を離すと
錦戸「悪りぃ、嫌やった?」
残念そうに私を見た。
私は必死で首を振って答えた。
錦戸「俺、あんまり会われへんけど、俺は絶対に離す気はないから...」
私は無言で涙を流しながら、頷いた。
ありがとうって言いたかったが、声にならない...
そんな私を見た、錦戸さんは優しく抱きしめた。
錦戸「今夜も飯に行く?」
彼の胸の中で頷いた。
錦戸「終わった頃に、ちゃんと迎えにくるな」
そう言って優しく微笑んだ。