第14章 負け
そんな私の様子を見てか、後輩は優しい声になって私に教えてくれたのです。
「そしたらアイツ、店長の所に行って、頭を下げたんですよ!客の前で....責任は全部 自分が取るから先輩を戻してくれって、お願いしますって」
私は、涙が止まらなかった。
そんな私を見ながら、彼は
「俺、すげーって本気で思いました。アイツ、すごいですね!芸能人なのに、そんなの関係なく女の為に頭を下げるなんて....俺は頭を下げれなかったですもの
俺、完全に負けました」
後輩は、そう言って笑った。
私は、ただ頷いて聞いていた。
私は愛されていた。
こんなにも深く....
錦戸さんは、会えなくても私を守ってくれてた。
本当に真っ直ぐな人....
会う会わないなんて関係なかったのだ
出会った時からそうだった....
いつも、私の一番を考えてくれてた...
なぜ、気が付かなかったんだろ?
彼の優しさが私の心を埋めていってました。
今から仕事なのに、涙を止める事が出来なかったのでした。