第14章 負け
その日から後輩は、事あるごとに私に電話をしてきた。
今暇なんですとか、何してますかとか、
最初は鬱陶しいと感じる自分もいたが
彼の連絡で救われてる自分もいたのです。
錦戸さんは仕事が忙がしいのか反対に連絡はなかったから、寂しい心が悲鳴をあげそうだったから...
私はどこかで錦戸さんと後輩を比べ始めていた。
好きならこんなに連絡をとるのかなぁとか
会いたいって気持ちが届くものなのかなぁとか
そんな事をしても無駄だとわかっていたのに....
そんな日々を過ごしてた時に店長から連絡が突然にはいった。
明日からまた来て欲しいと、職場復帰したのだ。
次の日に私は複雑な気持ちで仕事場に行った。
あの日から、店がどうなってるか分からなかった。
私を受け入れてくれるのかさえ、
後輩に聞いてみたが、言葉を濁されていたから
私の立場は、かなり不味いと感じていた。
「おはようごさいます....」
私は勇気を出して、店のドアを開けた。
予想通りに、職場の人の目線は強かった。
私はこの中で仕事をするのかと、少し憂鬱になりながら、制服に着替えて店に向かうと、後輩が嬉しそうにやって来た。
「先輩!おかえりなさい!」
彼の無邪気な笑顔にホッとした。
「ありがとう...」
彼がいてくれて本当に良かったと思った。
まだ、ここで働けると
「...先輩、俺、負けました..」
彼は突然変な事を言い出したので、私はキョトンとしてしまった。
そんな私の顔を見ながら、後輩は苦笑いしながら話を続けた。
「...昨日、アイツ来たんですよ店に」
彼の話しに理解出来ずにいた。
「アイツって?」
「錦戸亮ですよぉ!アイツ先輩が居ないか俺に聞いてきたんですよ」
私は、自分のいない所で起きた事に衝撃を受けていた。
「で、何て答えたの?」
私は必死で、彼の腕を掴み話をせがんだ
「正直に言いましたよ、あんたと付き合ったから謹慎になったよって」
私は、震えていた。
彼のその時の気持ちを考えると....
彼なら、自分を責めるだと分かったから
だから、私は彼には何も告げないで過ごしたのに....