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ブリュレ

第12章 距離


仕事が終わり店の前に来ると、いつものように彼が待っていた。
スマホをいじっていたが、私に気が付くと

錦戸「....おす!」


彼は明るく軽く手を上げた。


「....こんばんは」


私は自分の複雑な気持ちを抑えてゆっくり彼に歩いていった。


側に行ったが、重い沈黙だけが流れた。

たぶん、お互いに何を言っていいか分からなかったのだ。




錦戸「....なぁ、見たん?」


重い沈黙を破って彼が問題を出してきた。

私は、何て言っていいか分からなかった。

答えを必死で探していた、どう言えば彼を苦しめないかを



錦戸「....見たんや、そりゃ見えるよな、」


私は、言葉が出なかった。


錦戸「あれさぁ、言い訳やけど....、酒を飲みに行っただけなん、打ち上げでさぁ」


ぼそりぼそりと話す彼に、私は黙って聞いてた。


錦戸「...噂の売名やねん..」


「えっ?」


私は驚いた。


錦戸「ドラマの視聴率悪いからさぁ、それで...」


「....そうなんですか?」


錦戸「...嫌な世界やろ?」


辛そうに話す彼。

でも、私は動けなかったのです。

そんな私を彼は気が付いたのか


錦戸「....嫌いになった?」


「えっ?」


彼の言葉に驚いた。


錦戸「俺の事.....」


「嫌いになってない....、でも、、」


私は本気で焦った、そんなこんなに愛してるのに

こんな事になっても私の気持ちは揺るがなかった。

だけど.....


錦戸「でも?」


私は、自分の気持ちを伝えるのを躊躇したが、
伝える事にした。


「....錦戸さんが遠く感じる、すごく...」



私の言葉に彼は傷ついたのか、何を思ったのか、空を見た。

自分の手を強く握り。

そんな彼を見て私は辛かった....


「....私は、信じてますよ」


そう私は小さい声で言った。


錦戸「ありがとうなぁ...」



それ以上、二人は話さなかった。

ただ、同じ時間を過ごした。

辛い、辛い時間を過ごしたのでした。




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