第11章 友達卒業
私は自分の身体の震えを必死で抑えた。
彼からの返事が本気で怖かったからだ。
錦戸「えっ?」
彼の顔が一瞬で変わる。
錦戸「ちゃうちゃう、さよならする気ないし」
苦笑いする彼に、私は一瞬も目線を反らさなかった。
そんな私を見て、彼はため息をつき
錦戸「俺なぁ、友達でいよって思ってたん....マジで、」
彼の答えが何故か遠くに聞こえているのだ。
たぶん、私自身が拒否をしてるからだろか?
この関係が終わる事を...
錦戸「やけど、今日 会いに行ったら、
アンタが他のヤツと仲良くしてるの見たら、
めっさムカついて...」
「....えっ?」
私は、彼が何を言ってるのか理解出来なかった。
私、怒らせるような事した?
錦戸「....俺、やっぱ無理やわ」
「錦戸さん?」
錦戸「ずっと友達でいるのは、無理やな」
私は何が起こってるのか理解出来なかった。
そんな私の顔を見ると、彼は照れた顔で
錦戸「俺なぁ、仕事を考えたら、幸せに出来んと思うから友達でいようと思ったんやで、アンタの為にな!でも無理やった...他のヤツに取られたないしな」
「...あ、あのぉ錦戸さん?」
私の目から涙が溢れて止まらなかった。
錦戸「もう、俺らは友達をやめようか?」
ズルい告白だと思いました。
「...い、いいんですか?」
泣いて言葉にならない私に、彼は意地悪な顔で
錦戸「まぁ、条件があるけどな」
「条件ですか?」
しばらく、黙って私の顔を見つめると
錦戸「出来た絵本を一番に見るんは、俺だってこと!」
可愛らしい彼の笑顔を見ながら私は、
泣きながら笑ってた。
「もちろんです」
すると彼は私に手を差し伸べて
錦戸「これで、友達は卒業や」
私は、夢のような幸せを感じていた。
それは、
恋の甘さを感じていただけなのかも知れないが、
私は最大の幸せを手に入れたようだった。