第7章 思い
私が、すっかり諦めてかけてた時だった。
もう、彼の事は忘れて仕事に打ち込もうと決めた
彼が、楽しさを教えてくれたから....
少しはふっ切れてきたと自分でも感じ始めた時だった。
錦戸「.....盆栽の本を探してるんやけど」
私は驚いて顔を見た。
本当に彼だった。
私は動けずに見つめ続けていた。
錦戸「盆栽の本、どこなん?」
私は、赤くなる顔を必死でおさえ
「....こ、こちらです」
案内しながら、涙が溢れそうになっていた。
彼が、どうして また来たのかそんなのどうでも良かった。
彼ともう一度会いたいという願いが叶ったのだ。
本当に嬉しかった.....
「お客様、こちらになります」
また、店の隅の植木コーナに案内すると
錦戸「やっぱ、ここは誰もおらんな」
笑いながら言った。
「でも、たまに来られる人もいるんですよ」
私が言うと、少し驚いた顔で彼は
「えっ、そうなん?」
楽しそうに、盆栽を取りながら言った。
錦戸「やっとな、ドラマの撮影が終わってん」
「お疲れ様です」
私は嬉しそうに微笑むと、彼はいつもの私と違うと感じたのか
錦戸「なっ、なん?どなんしたん、」
少し焦った感じで私を見た。
「いえ、また会えて嬉しかったので...」
「あっ、私、そろそろ行かないと...それでは...」
私は、軽く頭を下げて行こうとすると、突然手を握られた。
錦戸「....今日は、飯に行かん?待ってるから」
私は掴まれた手の温もりに、全身が熱に変わっていくのが分かった。
「はい、あと一時間で上がれるので...」
錦戸「あぁ、、いつもの所で待ってるわ」
私は、頭を下げて彼の元から離れた。
大きな胸の音を必死で隠しながら....
友達でも、一緒に過ごせる幸せで私は溺れていたのです。