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ルフの導き【マギ】

第4章 彼女の能力


侍女に案内された部屋は高級ホテル並みかそれ以上に豪華な部屋で私には勿体ないものだった。

広い部屋に落ち着きなくうろうろした後、持っていたカバンをベッドの近くに置きベッドに腰掛ける。フ、と大きな窓を見れば日本とは明らかに違う街並みと造り。

改めて異世界にきてしまったという実感が湧いて少し涙が出そうになった。でも異世界という未知なところから来た私を温かく迎え入れてくれたシンドバッドさん。あの方には感謝してもしきれない。

ジャーファルさんにはまだ警戒されているのだろうけど、私は私の出来る精一杯の恩返しをしなくちゃ。




ベッドの上で決意したチサトが拳をグッと握り締めれば突如割れる窓ガラス。派手な音を立てながら割れ出すそれは当然チサトの方にもその破片が飛ぶ。突然のことで困惑しながらも咄嗟に手で顔を庇うようにするが、何も当たることなくガラスが散らばる音が止む。

恐る恐る目を開け窓の方に目を向けると、全身黒としか表現のしようがない人物。その中で妖しく光る紅の瞳はギラギラとしていてチサトを見ていた。



『……誰?』



小さな声で紡いだ言葉はどこか震えていて、そんなチサトの様子に窓を壊した張本人はにやりと笑って見せてチサトに近寄る。



「たまたま近く通って挨拶でもしよーと思ったらバカ殿、おもしれーもん隠してやがったのかよ」



チサトの近くにきた黒い男はチサトと目を合わすように腰を曲げると益々その笑みを深くする。



「…お前のルフ、なんか変」



新しい玩具を見つけた子供のように楽しそうに言えば、赤い石が特徴的な手待ち杖を出し、チサトの額に当てがう。



「なぁ、俺と勝負しようぜ?」



この体勢、いつ攻撃されてもおかしくない状況に絶望的になるチサト。諦めかけようとした時、勢いよく自分の部屋のドアが開き赤い紐が視界に映る。
黒い男は距離を取るように後ろに下がり冷めた目で第三者を見やる。



「……ジュダル!!」

「…雑魚には用ねーんだよ」



ジュダルと呼ばれた男が杖を一振りするとジャーファルさんを壁に突き飛ばす。



『っ、ジャーファルさん!』

「次はお前の番だぜ?」



笑う目の前の男に冷や汗をかいた




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