第3章 シンドリア王国
私が差し出した地図にシンドバッドさんとジャーファルさんが覗き込む。すると次は2人が驚き顔を見合わせている。
「…こんな地図、見たことないが」
「…そうですね」
「チサトの国はどこなんだ?」
『この小さな島国です』
変な形をした自分の国を人差し指で指せば、そうかと呟きソファの背もたれにもたれるシンドバッドさん。
「これを見せられては否定が出来ないな。それに君が着ている服も初めてみるものだ」
そう言って私が身に纏う服を見始めると再び小さく唸りだす。
確かに2人が着ているゆったりした服装ではないし、珍しいものなのかもしれない。
『これは、制服と言って同年代の学びに来る人が一箇所に集まり1つの組織として識別するための服です。』
多分、あの説明で間違いはない…はず。
改めて説明すると難しいものだなぁ。
「…人々が学ぶ場があるのですか?」
『はい。学びは四段階あります。行くのが義務づけられてる小学校、その上の中学校。義務じゃないけど大半の人が行く高校。そして更に学びたい人が行く大学。私は高校を卒業し、次は大学に行く予定だったのです…』
「…チサトは頑張り屋さんなんだな。しかしそんな学びのシステムがあるとは…」
二人とも地図をマジマジと見た後、ぱらぱらと問題集を捲り出しては不思議そうに眺めている。
「…この文字も初めて見るものだ」
シンドバッドさんの言葉にジャーファルさんも混和気味に頷く。シンドバッドさんは眉を寄せると、問題集から私に視線を戻した。
「信じ難いがどうやらチサトは異世界からきたかもしれない」
「シン、それは…っ」
「ジャーファルの言いたい事も分かるが、昔本で異世界人のことが記された本を読んだことがあってな。まさか本当にあるとは思いもしなかったが」
…私の他にも以前ここに来た人がいるってこと?
その人は、どうしたんだろう…。
『…これから私はどうすれば、』
「その事だが、チサトには食客になってもらいたいんだ」
「!本気で言っているんですかシン。何者か分からない者をそんな簡単に!」
「はぁ、ジャーファル。彼女の細っこい体で一体何が出来ると言うんだ。殺気も感じられないんだぞ」
「それは…っ」
.