第3章 シンドリア王国
突然名前を聞かれた事で少し拍子抜けしてしまった。
でもさっきの人とは違い、殺気なんてものはないし少しは心に余裕が出来てきた。
白の彼にシンドリアに侵入したと言われたけど、どうやらここは日本ではないみたい。
何でかは分からないけど、今考えても仕方ない事だしとりあえず今は目の前のことに集中しなきゃ。
外国なら、名前を名乗れば良いよね…?
『…チサト、です』
「そうか、俺はシンドバッド。こいつはジャーファルだ」
「ちょ、シン!アンタなに侵入者に勝手に名乗ってるんですか!」
「まぁ落ち着け。まずは彼女に話を聞いてみようじゃないか。処遇はその後でも良いだろう?」
「…はぁ、分かりました」
どうやらこれから私は事情聴取をされるみたいで、紫の人に手を引かれるまま歩き出す。
私の後ろには白の彼がいて、ハッキリ言って背中に刺さる視線が痛くて怖くて後ろ振り向けないです…。
しばらく歩いて着いた先はよくテレビで見るような…もしくはそれ以上の大豪邸。しかもアラビアン風。
こんな状況下でも少し目を輝かせてしまう。
その中も期待通りの造りで感嘆とする。
そんな私の様子に紫の彼はくすりと笑う。
それが少し恥ずかしくて子供っぽいみたいで少し俯いて、歩き続ける。
やがて着いた一際豪華な部屋に再び驚いていると、ソファに促されたので少し遠慮がちに腰をおろし、その対面に紫の彼が。その紫の人が座る後ろには白の彼が控える。
再び感じる緊張感に自分が強張っていくのが分かる。
「チサト…と言ったな。そんなに緊張しなくて良い、気楽にしてくれ」
『…は、はい』
気楽に、と言われるがそう簡単に出来るはずもなくカチコチのままだが、その気遣いに幾分か気持ち的に楽になったような気がして、小さく深呼吸したらゆっくり顔を上げて目の前のシンドバッドと言う男を見る。
「いくつか質問をするが、構わないかな?」
それに小さく頷くと彼は早速質問してきた。
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