第5章 天才魔導師
あれから私とヤムライハさんは王様の部屋を後にしてヤムライハさんの部屋へ来ていた。
『なんだか、凄い部屋ですね…』
ヤムライハさんの部屋は魔法に関係してそうな書物と様々な器具、そして殴り書きやら長い文字や記号の羅列が綴られていて訳の分からない事になっている用紙が散らばっていた。
「つい研究に没頭してしまうのよねぇ…さぁ、そんな事よりあなたの魔法について調べたいわ!良いかしら?」
ずいっと顔を近づけられ、問うてくるヤムライハさんの鼻息は若干荒い。
私は彼女の気迫にただ頷くしか出来なかったが、ヤムライハさんは満足そうに笑うとある物を私の前まで持ってきた。
『…これは?』
「これは魔法の属性を調べるものよ。属性は全部で1〜8型まであるわ。まずここに手を置いてみて」
言う通りにそこに手を置いてみると何らかの反応が出てきた。
「…8型…命ね」
『命…それはどういうものなんですか?』
「そうね、簡潔に言えばこの型は治療系統よ」
『治療…だからあの時、』
ジュダルに奇襲された時の事を思い出す。あの時私がジャーファルさんを治療できたのは私が8型だったからなの…?
「…疑問なのはあなたはその魔法を無意識で使った時、何も媒介にしてなかったのよね?」
『はい、特には持ち合わせてなかったです』
「うーん、そこが異世界との違いかしら…研究のしがいがあるわね!でもまずチサトさんには魔法のいろはを知ってもらうわ」
『はい!』
と言うことは勉強かな?
良かった、丁度ここに来る前は学校にいたし筆記用具ならカバンの中にある。
「みっちり覚えてもらうわよ!」
『はい!お願いします!』
勉強は嫌いではないから苦でない。むしろ魔法の勉強が出来るこの状況にわくわくすらしている。
早く魔法の基礎知識を固めて技術も磨いていきたいな。
うずうずしながらヤムライハさんを見るとそれはそれは満面の笑みのヤムライハさんが。この人は教えたくてうずうずしてるのかな…そう思うと少しだけ笑えてきた。
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