第2章 遠い日の想い出
「……んんーっ」
簡素なベッドから降りると、伸びをする
久々に昔の夢を見たな…そう思いながら洗面所へ行き、鏡を見る
昔からよく褒められたこの透き通った青い瞳に藍色の癖のない腰までの髪
「あ、今日集会の日だ…急がなきゃ」
急いで顔を洗い、歯を磨き髪を梳かす
クローゼットの前に立ち、シャツと灰色のスカートを着て立ちながらニーハイを履く
青いリボンと黒いコートを羽織って、必需品を備えれば奏多アイラが完成
「行ってきます、父さん母さん」
二輪の花に向かって挨拶をすると急いで扉を開けた
ここはグローリア王国の中の東部にある主要都市、オストの郊外にある小さな町「リーテン」
小さなバーを経営している店の裏から決まったルートを歩くと辿り着ける秘密基地というやつだ
分けあって私はここにいる必要性があったが、それも今日で終わり
バーとは違う方向へと走り続けると、講堂のような開けた場所へとたどり着く
「来たな、一応確認だ。名前と役職を言え」
「名は奏多アイラ。構成員をしている」
「己を殺さず」
「人をも殺さず」
「国を殺さず」
「変革を求める我等の正義此処にあり」
淡々と合言葉を述べると、20位の男は娘を見るような顔つきでアイラの頭を撫でた
「はは、言えなかったら追い返すしかなかったぞ」
「カイリの真似事ばっかしてたんだから間違えるわけないでしょー」
わしゃわしゃと私を撫でるこの人は命の恩人であり、この集会の主催者でもある風間カイリと言う
見た目は若いが、面倒見がよく統率者として先を冷静に見据える事のできる人物だ
私の憧れであり、目標でもある
「アイラ、そろそろ入隊式を始めるぞ。席に座っとけ」
「うん、わかった。かっこいいスピーチ待ってまーす」
「はいはい俺様が凄すぎて泣かせるようなスピーチ言わせますよ~っと」
そう言って歩いて行くカイリ
ずっと、この瞬間を待っていた
この反乱軍に入る瞬間を!!