第2章 遠い日の想い出
入隊式、と言えば響きはいいが王国軍とは違う非正規の軍隊だ
王国軍なら何十人もいるであろう入隊者は、私含め僅か5人
また、その全てが王国などこの現状に疑問を抱いている若者達。
これは私の予想だが、このほとんどが正義という刃で自分の運命を斬り裂かれた経験を持っていると思う
一人一人観察していると、かなり個性的なメンバーだという事がわかる
一番遠い席にいる大柄な男は、椅子を揺らしてみたりと落ち着きがない。場所が違えばかなりの喧嘩屋に見えただろうが、この場では強者にも思える
大柄な男と対照の位置にちょこん、と座る少女はひたすら本を読んでいる。題名は「瞬間想像性刃制御装置とその可能性について」
題名からしてかなり機械系統に詳しい少女と思える、技術班希望だろうか
部屋の中心に座る二人の少年達は無言で手遊びをしている
顏の判別は髪の色しかなく、双子だと思う…初めてみるがすごく似ている
そして一番前に座る私の近くに座った少年は、面白い程に特徴がない
強いて特徴を挙げるならば、反乱軍の割に強そうではないという事だ
同期となるメンバーを見渡していると、重厚な扉が開いた
カイリ含め、地方幹部が壇上に上がると全員の視線はカイリへと向けられた
「俺の名前は風間カイリ。このオスト地方のリーダーをしている。そしてお前達は今日から俺の部下となり、一日も早く革命を完了させるべく働いてもらいたいと思う…そこでだ、同期の名前と顏だけでも今覚えてもらう」
「大門コウ」
大柄な男が野太い返事をして立ち上がった
名前を呼ばれたら立ち上がる流れになるらしい
「エマ・ルーミィア」
小声で返事をしておどおどと立ち上がる
「セイヤ・ジュメル」
双子の銀髪の方が無言で立ち上がる
「ヨウヤ・ジュメル」
もう片割れの金髪の方が元気な返事をして立ち上がる
「燈ヶ谷ソウタ」
地味な青年が平凡すぎる返事をして立ち上がる
「奏多アイラ」
そして、最後に残った私をカイリが呼んだ
返事をして立ち上がると、カイリの横に並んでいる反乱軍達が拍手をしたり、それぞれの顔を見てうなずいたりしていた
「以上、名前を呼ばれた奴が同期となる。しっかりと覚えておけよ」