第1章 サプライズデート
最後尾の札を持ってるキャストさんが40分待ちだと案内していた。確かに40分待ちなら短い方だ。ゲーム自体も簡単だし、回転率も高いから実際はもっと待ち時間は短いだろう。だけど有料なのは気がひける。チケット代を割り勘で払おうとしたら、テツヤ君は受け取ってくれなかった。“今日は僕に付き合ってもらってるんですから”と言って。
黒子「ほら、行きますよ」
穂波「あ、待ってよテツヤ君」
どうしたんだろう、今日のテツヤ君何か強引だ。
30分ほど並んで私達の番がやって来た。3回ボールを転がして一番奥のお皿に乗せるゲーム。単純だけど加減が難しい。私は3回とも失敗して、残念賞のピンバッジをもらった。次はテツヤ君の番。1回目と2回目はダメだったけど、3回目に見事お皿に乗せることに成功した。キャストさんのおめでとうございます、という声が響く。すごいなテツヤ君、こういうのも得意なんだ。
黒子「これは穂波さんに」
穂波「え⁈いいの?テツヤ君が取ったのに」
黒子「穂波さんのために取ったんです。もらってください」
穂波「…ありがとう、テツヤ君」
テツヤ君からのプレゼント。大切にしよう。