第1章 サプライズデート
雪はまだ降り続いている。白く染まった風景がライトに照らされて幻想的だ。そろそろ帰らなきゃいけない時間だけど、もう少しこのままいたいなぁ…。
黒子「もうこんな時間ですね…。穂波さんといると時間が経つのが早く感じられます」
穂波「私もだよ。デートまでは待ち遠しくて時間がゆっくりに感じられるけど、いざデートになるとあっという間。逆ならいいのにね」
黒子「まったくです。僕は1秒でも長く穂波さんといたいのに」
ああ、同じこと考えてたんだ。嬉しくなってつないでいる手をぎゅーっと握る。
黒子「‼︎穂波さん?」
穂波「ねえテツヤ君、来週のバレンタインデーにもデートしようよ。練習があるならその後1時間でもいいから」
黒子「僕は構いませんけど、いいんですか?」
穂波「うん、今度は私がサプライズてんこ盛り用意しておくから」
自分で言ったらサプライズにならないか。でもテツヤ君が喜びそうなこといっぱい用意しておこう。
黒子「わかりました。楽しみにしていますね」
テツヤ君もつないだ手に力を込める。少しだけ歩調をゆっくりにして、降り積む雪の中を歩いて行く。吐く息も景色も白いのに、なんだか私達の周りだけ暖かいような気がする。幸せって、こういうことなのかな。多分こういうことだ。
テツヤ君、ありがとう。私を幸せにしてくれて。一緒に幸せになってくれて。本当にありがとう。
バレンタインデー当日は、好きと幸せを目一杯詰め込んだチョコレートと沢山のサプライズを用意しておくから楽しみにしていてね。