第1章 サプライズデート
いくつか手にとってテツヤ君に見せながら説明する。
穂波「この子は元気いっぱいって感じだけど、こっちの子は少し首傾げてるでしょ?この子はちょっと寂しそうだし、あっちの子は優しい顔してる」
黒子「そう言われればそうですね」
穂波「だから皆自分が一番可愛いと思う子を選んでるんだよ」
そうテツヤ君に言いながらまた真剣に選びだす。テツヤ君もじっくり見だした。
黒子「これはどうですか?」
穂波「あ、この子可愛い」
同時に伸ばされた手が同じぬいぐるみを掴む。びっくりしてテツヤ君を見ると、彼も驚いた顔で私を見ていた。一瞬の間の後、二人で顔を見合わせて笑った。
穂波「決まり。この子にしよう」
黒子「そうですね、その子がいいと思います」
二人で選んだぬいぐるみをレジに持っていく。キャストのお姉さんに言ってタグを取ってもらい鞄につけた。私の歩調に合わせてぬいぐるみが揺れる。それがまるでさっきのショーのダンスのようで。
穂波「宝物が増えちゃった」
テツヤ君に向けて笑うと、まぶしそうな顔で微笑み返してくれた。