第1章 サプライズデート
全員が舞台に戻ると、中央でネズミのカップルが踊りだす。それを合図に他のキャラクター達は袖にはけていった。入れ替わりにお兄さんとお姉さんが現れる。あの人達も歌うのかな?
ダンスが終わるとお姉さんが話し始めた。
「皆様ようこそお越しくださいました。今年もこのバレンタインナイトでは、沢山の素敵なメッセージをお預かりしています。その中からいくつかご紹介したいと思います」
え?何それ⁈メッセージって何?訳がわからなくて呆然としていると、テツヤ君がこっそり教えてくれた。
黒子「この会場にいる人達に事前に大切な人へのメッセージを応募してもらうんです。その中から何人か選ばれて舞台で発表されるんですよ」
うわー、ロマンチックだけどある意味恥ずかしいなソレ。まさかテツヤ君応募してないよね?
オーケストラの後ろに幕が下されメッセージが映し出される。もうすぐパパとママになるご夫婦の奥さんから旦那さんへの感謝の言葉。付き合って5年目の記念日に彼氏さんから彼女さんへの公開プロポーズ。娘さんから今年銀婚式を迎えるご両親へのお祝いメッセージ。卒業で離れ離れになる仲良しグループの友情の誓い。
一つ紹介されるたびにメッセージを送った人を探して立ち上がってもらう。そして会場中が拍手に包まれる。なんかいいなぁ、温かい。恥ずかしいかもって思ったけど、ちょっと羨ましいな。
「それでは最後のメッセージです」
お兄さんがそう言うと、メッセージが映し出される。それを見て、私は固まった。