第1章 サプライズデート
穂波「テツヤ君コレ…無理して手に入れてくれたの⁈そんなことしなくても私はテツヤ君と一緒なら近所の公園だって立派なデートスポットになるのに…‼︎」
黒子「僕が見たかったんです、どうしても穂波さんと一緒に。このショーでないと意味がないんです。だから多少無理してでも来たかったんです」
そんなことしなくても、私はただそばにいてくれるだけでいいのに…。ヤバい、さっきとは違う意味で泣きそうだ。俯いてしまった私に、テツヤ君がおずおずと声をかける。
黒子「すみません、迷惑でしたか?でも今日だけは僕の我儘に付き合ってください。お願いします」
穂波「…ありがとう、テツヤ君。ごめんね、勘違いして。テツヤ君の行きたいところは私だって行きたいし、テツヤ君の見たいものは私だって見たい。だから1人で無理しないで?テツヤ君1人に無理させたんじゃせっかくのデートも楽しくないよ」
黒子「すみません、でもこれだけは僕が用意したかったんです」
そう言いながら、テツヤ君はチケットをしまう。そして私の方を向いて笑って言った。
黒子「そろそろ食べないとグラタンが冷めてしまいますね。続きは食べ終わってからにしましょうか」
穂波「あ、うんそうだね」
上に乗っている半熟卵を崩してグラタンに混ぜ、一口食べる。グラタンはまだアツアツだった。
穂波「美味しいね」
黒子「そうですね」
私達は笑い合いながら夕食を食べ終えた。