第1章 サプライズデート
レストランのあるエリアは丁度反対方向だ。話をしながら歩いていると、テツヤ君は何度か時計を気にしている。なんだろう、今日の夜のショーは8時からだし花火はその後だけど、どうしたのかな?
…今日のテツヤ君はいつもと違うことばかりだ。何か隠してるみたいだし、ちょっと強引だし。何かのサプライズならいいけど、もしそうじゃなかったら…。急に不安になってきた。“もしも”のことがあったらどうしよう。
黒子「どうかしましたか?穂波さん」
急に黙ってしまった私にテツヤ君が声をかける。私は思い切って口を開いた。
穂波「どうかしたのはテツヤ君の方だよ。いつもよりちょっと強引だし、さっきからずっと時計を気にしてる。それに私に何か隠してるでしょう?私テツヤ君に嫌われるようなこと何かした?」
言いながらどんどん不安が大きくなっていく。どうしよう、これが最後のデートだったら。ダメだ、泣きそう。
黒子「泣かないでください、穂波さん。君は何もしていませんよ。それより不安にさせてしまってすみません。訳は後で話しますからとりあえずレストランまで行きましょう」
穂波「うん…」
テツヤ君は手をつないでくれた。つないだ手に力が込められる。
このままずっと、離さないでいて。