第1章 ずっと貴方といられたら
翌朝、体を起こしてみると頬に水が流れた気がした。
「泣いてる…?」
水の正体は僕の目から流れ落ちる涙だった。
何故?…わからない…
涙を拭おうとパジャマの袖を顔に近づけたとき、手に何かを握っていた。
手をゆっくりと開くとそこにあったのは…
薄い青色のりぼんに小さな鈴が一つ付いたさんの首輪…
僕は隣で寝ているはずのさんの方を見た。…が、そこにさんの姿はどこにもありませんでした。
ベッドの下や机の下、この部屋の中で可能性がある場所はしらみつぶしに探してもどこにもさんはいなかった。
昨日見た夢が頭を過り、僕は首輪を握りしめたまま裸足で外に飛び出していた。
「さん…!どこにいるんですか…?!」
今のさんの体力を考えればそう遠くには行けないはず…なのにどこにも姿がなくて…
それから一時間程探し続けてもさんは見つからなかった。