第1章 ずっと貴方といられたら
ここ最近、帰ってきても玄関でさんが待っていることが少なくなってきた気がします…
2階に上がるときも僕の後ろを今までのように足にすり寄る感じではなく、少し遅れて着いてくるようになりました。
僕が生まれて間もない頃から一緒にいるので仕方のないことかもしれません…
ある日…普段通りさんと共に布団に入り一緒に寝ました。
ただいつもと違ったことが一つ…
夢を見たんです。
目を開けると色鮮やかな花が咲き誇るお花畑が広がっていて、そして黒く長い髪の金色の瞳、まるでさんのような女性が僕の前に立っていました。
その人は僕を見て、泣きそうな微笑みを浮かべ話始めた。
『…テツヤ…ごめんね…でも、テツヤとずっと一緒にいれて楽しかった!テツヤは私のことを大切に扱ってくれて、優しくて、私の大切な人間…だからギリギリまで一緒にいたかった。願いが叶って良かった…でももう一つの願い、テツヤ、ばすけ?辞めないで。テツヤいつも楽しそうだったから辞めないでほしい。私のお願い叶えてね?』
そう言うとその人は光に包まれ、光の粒となり天へと舞っていった。
ここでいきなり視界が暗転し、夢に終止符が打たれた。