第1章 まずは疑いましょう
「それで、僕達を漫画のキャラクターと判断した論理はどうなっているんだい?」
私は少し躊躇い、ゆっくりと口を開いた。
「まず、私は自分が狂ってはいないと判断してる。その上で、君達が登場人物として出てくる漫画を読んでいたことは…心から好きだったことは、私の中で紛れも無い事実でもある。でも、現実に君達は目の前に存在してるし、君達は生きてる人間で、私の妄想の産物なんかじゃないと思ってる。当然、君達から見れば私の言っていることは世迷言で、私の頭がおかしいっていう判断になるはず」
「どちらも現実だとすれば、どういうことなのか。私は、ここが狭間の世界なんじゃないかと仮定したんだよ」
「私の生きている現実と、君達が生きている現実は別々の世界として存在していて、ここはそのどちらからも入り込める中途半端な異世界なんじゃないか。私はそう考えている」
「それと、君達が漫画のキャラクターと判断した理由だよね?…答えとしては、君達が、あまりにも漫画のキャラクターとそっくりだったから、かな。緑とか青とか紫が地毛の人なんてこっちにはいないから」
ポッケの中、鍵につけていたストラップをゆっくりと取り出した。
「…気持ち悪いかもしれないけど、向こうでは君達は人気があったから、ストラップとかも出てて…今つけてるのは、赤司君と緑間君のなんだけど。似てる理由の根拠にならないかな」
「え!?真ちゃんストラップなってんのwwwうっわ激似ww可愛いwww」
「やかましいのだよ高尾!!…見せてもらえますか」
緑間君本人に緑間君のストラップを渡すという状況に怯みながらもそっと差し出すと、緑間君はじっくりと眺めて「ふん」と呟いた。
「よく似ているのだよ。テーピングの巻き方も、メガネのフレームまで同じとは」
「ごめん、気持ち悪いよね。というか私がかなりのオタクであることを披露してる状態でそれもかなり居た堪れないんだけだね…」
「別に個人の趣味です。オタクであることは悪いことではないでしょう」
「真ちゃんがwwwでれたwwwブフォwwwww」
「うるせーよ高尾!」
やり取りをじっと見ていた赤司が、口を開く。