第1章 穴無き穴と仲間達
結局・・・・家につかず・・・・パンくずを落としていなかったため苦労をかけ彼の家へと戻った。
私の体力にも限界がきたのか、精神的疲労と身体的疲労がどっと押し寄せ私は玄関の前で座り込むと光の早さで気を失った。
#2 一時の青春
「ねぇ、ねぇ君!!!大丈夫!?」
(うるさ・・・。)
私の安寧を崩す輩は誰かと薄っすら瞼を上げる。人影がみえた。
「ハルー!!!!!!!玄関前で女の子寝てるー!!!!!」
は、ハル・・・?
回らぬ頭を無理に回し、余計頭の中がよくわからなくなっていく。昨日あったのは遙って人で私は助けてもらって・・・・。ああそうだ、家に帰れなくて原点に戻ったのだった。
(指差した方向歩いて行ったのに・・・!)
突然湧いてくる怒りで立ち上がり、ちょうど出て来た彼に啖呵を切ー・・・・。
「な、何でまた水着なの!!?」
「あー、ハルね、毎朝学校行くギリギリまでみー・・・・ってまたって何、またって。ねぇまたってなに!!?まさかハルに限ってそんな粗相を犯したりしないよねぇ!!??」
朝から人の家の軒先で騒ぐ2人。彼は表情こそ変えないもののどこか不愉快そうだった。多分。
彼は片方の少年を無視してまくし立てる私の方をみた。
「おまえ、何でここにいる。」
突然人形のようだった彼にそんなことを言われ動揺してさっきまで軽快だった舌の動きがピタリと止まる。一方の少年も同じようだった。
「えっと、家に、帰れなかった、から、原点に戻りにきた・・・。」
よく考えたら自分が怒るのはおかしい。親切に服まで借りて、道まで教えてくれたのに。そう思うと何だか恥じらいを覚え俯きがちになる。段々と小さくなって行く声は私の自信を表すようだった。