第2章 新しい景色達
彼が、七瀬君が、表情一つ変えず、部屋の扉を開け、顔を覗かせ、そう言っている姿を目の当たりにする。
「・・・・。」
「早く。」
「いや、あの。」
「何。」
「ごっごめん!!!くらい、慌ててくれても。」
「何で。」
それに応えられず、沈黙しているうちに彼は出て行った。
いや表情位ちょっとは変えてよ!!!なんか女である認識が死にそうだよ今!!!!
あれ、私女の子だよね???花のseventeenだよね???ああそうかー学校行ってないから老けたかな★
ってかあれはよもや仏頂面とかそういうレベルとうにこえてロボなのかな!!!私が女の子と認識されてないのかな!!!あ、きっと両方だね!
何だろうさっきから精神を鰹節削りで豪快にスライスされるようでどっと疲れが・・・。
床をこすったバスタオルで一応体前方を隠しつつ誰もいなくなった風呂へと向かった。
脱衣所まで着いて、前に備えているタオルを少しばかりたたんで洗面台にかける。
もうこのお風呂に入るのも何日かなー。
私もしっかりした女子ゆえに(ここ重要)お風呂は好きだ。なーんにも忘れられるというか・・・。
最初は男の子が入った後だと・・・・?とか思ってたけど時の流れとは恥じらいさえ同じく流していってしまった。
・・・ではなぜ仮にも同居人の私達の関係は上手く流れていかないのですか?(懇願)
激流のまま何も変わってないぞ・・・。
激流・・・、か。
頭を過る強い水の流れ。その映像は脳裏で鮮やかなスクリーンに映写されあまりにも鮮明に映される。
軽くバタ足してみたり、上半身だけで泳いでいるような気分になろうとする。
なんだろう。
***
朝。
早朝に携帯アラームは鳴り響く。
よし、と布団をそそくさとしまい、簡易衣装ケースからトレーニングウェアを見つけーー・・・・・・
られねぇ。