• テキストサイズ

イルカとアリス 【free!/ギャグ/遙オチ】

第1章 穴無き穴と仲間達



「かっこいい・・・。」

「は、はぁ?」


唐突に私が賞賛するような事を口走ったせいか、彼は意味がわからないと言いたげだった。


「それ小さい頃からなんですよね?」

「まぁ、・・・だからなんだよ?」

「いやすごいなぁって。」


「だから何が?」

「私もよくわかんないんです。さっきまで実はちょっと軽蔑してたんですけど尊敬しました今。」

「あのなぁ・・・一言余計で腹立つんだよ。」

「えー、今人に尊敬されてるんですよ?素直に喜んで欲しい。」


彼は不服そうな顔をしていたが、段々頬を染めらせるとそっぽを向いて、


「・・・・・・・あんがと。」


と礼を言う。

ツンデレなんですねぇわかりました。(アホ)


そんな彼を微笑んで(※ニヤついて)見ていると、そそくさと立ち上がった。


「もう俺は帰る。・・・てめぇも早く帰れよ。」

「はい。ありがとうございました、ほんと・・・。練習頑張ってください!応援超します!」


絶対乾いてないであろうしけたままのTシャツを着て、砂浜から去ろうとする。
ひ、広い背中やん・・・。真琴君は元々体が大きいから、彼の背中も大きくて上がる口角を抑えるのに必死になったが・・・鍛え上げられて広くなった背中もまた・・・。
あれ、江ちゃんに毒されたのかな私。


口がヒクつくのを必死で押さえていると、彼はチラと私の方に振り返った。


「・・・・陽野、だったか?」

「えっ、あ・・・はい!!そうっす!陽野っす!!!!」

「・・・きめぇ。じゃあな。」


あのさぁ感動の別れをさぁ・・・・。


「・・・・・・あんたも一言多いのよ!!!」

「お互い様だろうが!」


仲良く、なれ・・・・た、のか・・・・・な??

私も砂浜を後にする。


冷たいコンクリートを歩き始めた。
夢だから泳ぐ、かぁー。
私は何で泳いでいたんだろう。
タイムを良くするため?

じゃあ、なんでタイムを良くしたいの?

そうだ、本当は大会に出て皆を見返してやりたかったんだ。

でも、突然私の目の前にそれは消える。妬みと虚栄は思った以上に私を殺そうとしていた。


/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp