第1章 穴無き穴と仲間達
似鳥少年は、顔面蒼白としていく私を気にせず、目の前の男に満面の笑みで語った。
一方目の前に現れた鍛え上げられた腕を袖から見せている、赤茶色の髪のギザギザ歯野郎(長い)は、つまらなさそうにこちらを見ていた。
「・・・あー、あん時の。」どうやら鮫男はスルースキルじゃ飽き足らずデータ消去までしていたようだ。(憤怒)
「えーっと、名前は・・・。」
「・・・・陽野、妙美・・・です。」
しかし、名前を言った途端、鮫男の態度は急変した。怪訝そうに眉を寄せる。
「・・・てめぇ、まさか今ハルんとこにいる・・・。」
「はい・・・。」
大方江ちゃんが話をしていたのだろう。今日ちょうどこの男と七瀬君たちの関係を全て真琴君から聞いていたのでここまで敏感になられるのも察しがついた。
しかし敏感になる理由は、それだけじゃなかったようだ。
「あ!最近妹さんがよく話されてるっていう女の子ですか!」
「・・・。」
なんで睨まれてるかっていうとこいつがシスコン
だからかなって思うよ、っていうか多分それが何よりの原因なんだと思うよ。それか七瀬君に禁断の感情でも抱いてるか・・・。
しかし、似鳥少年の今の話っぷりじゃ、兄妹で話すたびに私の話題が彼女から放たれているようだ。
・・・ふっ。見たか鮫男!!!貴様の愛しい妹のハートはいただいたぞ!!!!(黙れ)
まぁ江ちゃんとは直接合わずとも現代のメール機能、LI○Eを使って毎晩のように会話しているんだからなー。最近なんかじゃこの子が実は一生の親友!?★レベルで馬があってきている気がする。
っていうか妹の友好関係くらい優しく見守れよアホ兄貴!!(失礼)
睨みすぎだよ・・・。
「あの、なんですか・・・?」
「・・・一体何もんだ。」
何者・・・・?いやそんな哲学的なこと聞かれても・・・なんて思ったが、相手からすれば突然現れ自分の大切な人々全員と謎の関わりを持って親しげにしている奴、であるのだ。しかも突然っていうのが本当に物理的に突然。
「えっと・・・。」
「あいつらに。」
「?」
「あいつらに執拗に関わんじゃねぇ。」
・・・・・・・・・・は?