第1章 穴無き穴と仲間達
問いかけながら、彼のために自動販売機の前からズレる。彼はポケットから私が拾ったあの財布を取り出してミネラルウォーターを二本買った。
「僕は見ての通りトレーニングです。さっきまで走ってたんですけど今は休憩中で。」
へぇー走るようなトレーニングって事は、陸上部か何かかな。
確かに彼の格好はランニングする人のような格好。(上手く表現できない。)なんでランニングする人ってボクサーパンツみたいなのの下にスパッツ履くんですかね。
・・・あれ、二本も水飲むのか?すごい・・・1度に滝の如き汗が流れるのかうわぁあああ可愛い少年の像がぁぁあぁああああ。
私は気付かぬうちにそのペットボトルを凝視していたらしく、彼は「ああ!」と言って続けた。
「先輩と一緒にやってたんです。」
「じゃあこれはパシられてるんですか!!?」
「えぇっ!ぜっ全然!全然そんなんじゃないですよ!なんでそうなったんですか!」
はははと盛大に笑われてしまった。
私の頭の中は運動部+先輩=「おぉい焼きそばパン買ってこいよぉお。」という古臭いものだったためだ。ミネラルウォーターバージョンなんでしょ?(は)
「とってもいい人なんですよ。ちょっとぶっきら棒っぽいですけど。」
へー・・・・いくつか出てくる顔が・・・。
そして同じく彼らも"実はいい人"という口説き文句が着いている。
まぁ私がいい人な一面を一ッッッッッ回も見たことないんでぶっきら棒なのかただの性悪なのか私にはわかりませんけどねーーーーーーー(泣)
・・・あ、そうだ!
「あの・・・つかぬ事をお聞きしますが、どうやって仲良くなったんですか・・・?その、ぶっきら棒先輩と・・・。」
「どうやって、ですか・・・・。」
彼はむむと悩み出す。彼の口がいつ開くかと、彼の顔を神妙に見つめた。
「強いて言うなら、時間・・・ですかねぇ・・・。寮生活で先輩と相部屋だし部活も一緒だから、こう自然と・・・。」
「む・・・。」
「む?」
「むりだぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!」
「え!?あの僕何かまずいことを・・・。」
そんなの無理だ・・・・!
時間の前に完璧に嫌われてるっぽいのにそんなの、そんなの・・・!過ごす前にまるでその辺に落ちてるゴミのようにあしらわれて終わりじゃん!?