第1章 穴無き穴と仲間達
「では、そろそろ失礼します。」
「じゃあ見送ってくるね。」
私が席から立つと、真琴君も立ち上がった。
「今日はありがとうございました。楽しかったです。」
「こちらこそ。またいつでもおいで。」お父様の方も立ち上がる。
「困ったことがあればいつでも言ってね!」
うっ・・・優しい橘夫妻・・・!この妙美、いつかこのご恩お返しいたしたい次第でござる・・・!(誰)
親切な2人の言葉は弱りかけてきたであろう私の心には感無量につきた。
私は小さく一礼し、部屋を後にする。
すると双子ちゃん達までも兄の後ろに続きながら、軒先まで来てくれた。
「今日はなんだかごめんね。急におしかけちゃったりして。」
「ううん。元々誘ったのはこっちでしょ?それに俺楽しかったし。」
「え、あんな写真を大公開しても?」
「・・・お願いもうそれ触れないで・・・。あと誰にも言わないでねぇ!?」半泣き気味で、まるで懇願するように弱々しくそう頼まれる。
「勿論。」
「妙美ちゃんばいばーい!」
「ばいばい!」
双子ちゃんが2人で元気にそう言った。色々あるがまぁなんだかんだこういうエンジェルのおかげで元気な気がする。
「うん。ばいばい。」
・・・本当は真琴君の羞恥な写真を写メして江ちゃんときゃあきゃあやりたかったとこだが・・・。(最低)
あれは確かに少しというか盛大に恥ずかしいな。
「・・・あの、さ。」
「ん?」
さて帰ろうと背を向けようとした私に、真琴君が声をかけた。
「水泳、本当に嫌いだったの・・・?」