第1章 穴無き穴と仲間達
「!」
「別に、答えなくてもいいよ!でも俺には、どうしても心の底から嫌いだったようには思えなくてさ。・・・って、俺が分かることでもないかな。」
「ううん。多分、真琴君は合ってる。」
きっと。実は大部分勘でこんなことを言っている。
「え・・・。」
「人の気持ちがよく組める人だから。多分そうなんだと思う。最近水泳からまるで離れてたから、もうちょっと自分で考えて見る必要はあるけど。」
私の考えがあってるなら、彼が私にこれを問いたのも心の何処かで彼が大丈夫と思っていたから。
私は逃げ続けていたものと向き合えるんだろう。
「妙美ちゃん・・・。」
「寄り道して帰る。本当に色々ありがとう。私も真琴君になら何でも言っちゃいそう。あ、七瀬君から何か連絡あったら頂戴。・・・まぁまずないだろうけどね。」
私は、はははと笑うと彼に小さく手を振り、見上げながら私達の様子を伺っていた双子ちゃん達にもう一度別れを告げる。
そして真正面の家ではなく、別の方向へと歩み出した。
***
「お兄ちゃん?」
「・・・。」
「お兄ちゃん早くお家入ろうよ。」
「・・・似てる、のかな。」
「え?」
「お兄ちゃん?」
「・・・何でもないよ。お家入ろ。」
「「うん!」」