第1章 穴無き穴と仲間達
「あ、なんか、ご、ごめん・・・。」
「え!?あ、そっかごめん。俺凄い酷いこと言ったね。」
「いやいいよ!なんかごめん!」
「こっちこそごめん。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「何2人で謝りあってんだろうね。」変にくすぐったくて、笑った。
それは彼も同じだったようで小さく笑いながらうんと返事をする。
「不思議だなぁ。妙美ちゃんにはなんでも言っちゃいそうになっちゃうよ。」
「え?なんで?」
「俺にもわかんない。」
私は頭に大量のハテナを浮かべた。首を傾げる。
いやだって何で??私に何かそんな超絶ヒロイン的なステータスなかったはず・・・。
私にあるとすれば・・・・・・・・やっぱり何もねぇわ。(遠い目)
そんな私を見て、真琴君はニコニコしていた。
「あ、ありがと・・・?」
「なんで疑問形?・・・って前にもこんな会話した気がするよ?」
ふと、彼の机の上にある写真に目が留まった。
写真たての中には、幼い頃の皆ー・・・ってあれ。
江ちゃんのお兄さん、私を華麗にスルースキルしてくれやがった男がいた。
次会ったらあの腐った根性叩き直そうと思う。(※スルーされただけ。)
「ん・・・?ああこれ?」
私の視線の先に気付いた真琴君がその写真たてに手を伸ばした。
「小さい頃入ってたスイミングスクールで撮ったやつ。これは江ちゃんのお兄ちゃんで凛。」
「知ってる。色々教えてもらった。見たこともあるよ。」
「ああそうだったんだ。でも見たことあるって?会ったんじゃなくて?」
「まぁそのー、なんと言いますか、江ちゃんと私が一緒にいた時に見つけて私が寄るとそそくさと、スルーって言うんですかね・・・。」
・・・はっ。
私この世界の一部の人に拒否反応出されてる・・・・!!!!なぜ!!しかも1番特に深く関わってもない人々!!
なぜこうも無自覚に人に嫌われていくのでしょうか!?
おっとなぜだろう目から汁が。
「大丈夫だよ。まず妙美ちゃんのせいではないから。昔は、もっと明るくって気さくって感じだったんだけどね。今はなんだかツンケンしてて。」
彼はその写真たてをじっと見た。写真の中の松岡兄は、無邪気な子どもらしい笑顔で特徴的なギザギザではない歯をニッと向けている。