第1章 穴無き穴と仲間達
その後、また沢山お話ししながら無事双子ちゃんはお菓子に手をつけ、夕飯が食べられなくなるとお兄ちゃんに注意されたところで私も帰らなきゃな。と、思ったのだが、予想はその斜め上へと急カーブをしてくれやがりました。
それは真琴父から放たれた。
「陽野さん、良かったらご飯食べていかないか?」ニコニコと彼に似た笑顔がそこにある。
「ちょっと父さん、迷惑になっちゃうよ。」
「あらいいじゃない?遙君も呼べばいいんだし。」
お母様が私の地雷を踏もうとしていた。
「あ、無理はしなくてもいいのよ。」硬い笑顔で固まった私の表情に、お母様が気を使う。それに気付いた私はハッとなってそれを弁解した。それにしても焦り顏までそっくりやなくそう。
一方事情をしっている真琴君は若干顔を青くさせていた。するとお母様と弁解している私に、
「ハルは多分大丈夫だよ!で、えっと・・・妙美ちゃんどうする?君さえよければ、大歓迎なんだけど。」
うんなんか気を思いっきり使わせたねマジごめん真琴君。
兎にも角にも、折角の誘いだ。断る理由もないし。
「遙君とご飯一緒だったりする?」
「元々下宿って名目で住まわせてもらってるしご飯は別だから問題ないです。・・・じゃあ、お言葉に甘えさせていただいてもいいですか?」
「ええ。」お母様の優しい笑顔が光る。聖母マリアかと思った・・・。
「え!妙美ちゃんごはんたべてくの!?」
「一緒にご飯食べるの!?じゃあじゃあゲームしながら食べてもいい?!」
聞きつけた双子が意気揚々としているのが微笑ましい。そして、食事中にゲームなんてお行儀悪いぞと嗜める真琴君。
実に幸せそうじゃんなんて絵に書いたような家族・・・。
「じゃあ、ご飯準備しちゃうからそれまでくつろいでて。」
「妙美ちゃんあそぼ!何する?」
「あっ!にーちゃんの部屋のゲームしよ!」
「えっ、俺の部屋?!」
「いこーよ妙美ちゃん!」
「ちょっと2人とも!お兄ちゃんにちゃんと許可とってからじゃなきゃだめ!私遊ばないから!」