第1章 穴無き穴と仲間達
「いや!でもこれから先関係修復もあるかもしれないし!それにその場しのぎにはなる!」
私のその一言はつまり誘いを受けるという意味と相違なく、私達は橘家へと向かったのであった。
***
「ただいまー!」
「ただいまー!」
双子はあそこまで遊んでもまだまだ元気なようで、蘭ちゃんの方は私を早く早くと急かしながら靴を脱いで家へ私を引っ張って行った。
「お、お邪魔します!」
蓮君蘭ちゃんに誘われリビングへ入ると、ええ勿論ご両親2人とも揃いに揃っていた。
真琴君もそのすぐ後にリビングへと入った。
「真琴おかえり。この方は?」お父さんであろう男性からその質問はやってくる。
「ただいま。あ、えっとね、この子はー・・・。」
しかし返答したのは意外にも、キッチンにいたお母さんらしき女性だった。
・・・・にしてもお母様お若い・・・。
「ああ、遙君のお家でお世話になってる子でしょ?話は聴いてるわよ。人伝だけど。」
フフと私に優しい微笑みを返すお母様。
どういうことだか知らないが、どうやらそう悪い印象を与えているわけではなさそうだ。
とりあえず安心・・・だけども。
人伝というのは、つまりほぼ噂話ってこと・・・?
少しばかり不安が生まれ始めた。
「大変ね・・・早く新しいお家見つかるといいわね。あ、名前をまだ聞いていなかったわ。」
「はい。陽野妙美です。あの、いつまでになるかわかりませんがよろしくお願いします。」
・・・相当でかい背びれ尾ひれが付いているようなのか、その噂の内容は明かさなかった。
兎にも角にも、ここら周辺住民から怪しまれていないことが少し確認できて良かった。
子ども達にグイグイ引かれながら小さく会釈する。
「よろしくね。・・・もぉー、蓮も蘭も、お姉ちゃんに迷惑かけちゃだめよ〜?」
「「はぁーい。」」
ああ真琴君の優しく紳士な性格がこの家庭から生まれるのは必然と言えよう・・・。私・・・今天国にいるのね・・・・死んだの・・・?(虚言)