第1章 穴無き穴と仲間達
「あっ、そういえば荷物大丈夫なの?買い物帰りみたいだったけど。」
「冷凍食品ないし大丈夫。・・・邪魔なら帰るけど?」
「えっ、あっ、ううん。別に、そういう意味じゃ。」
最近わかってきたのだが、
彼の反応は実に加虐心を擽る。(最低)
いやぁー優しい人間を困らせるのは楽しいですなぁはっはっは。(クズ)
人の感情に人一倍敏感なのか、いつも誰かを一番に考えているようで。相手が少しでも傷付く素振りを見せればオロオロと戸惑う彼は実に可愛い!節操なくてすいません。
「あの、俺的には、いてくれて嬉しいっていうか、助かるっていうか。」
「分かったから落ち着いて。大丈夫だよ、傷付いてないから。」
「もぉー・・・・・・その、ハルとはどう?」
だからどんだけ私の存在気にして????
もうそろそろ同性愛の可能性確信し始めてるよ????
なんて馬鹿げたことを信じ始めた私の頭はさておき・・・。
先日の鯖泥棒以来、またプツリと会話はしていないのだ。
「何にも変わらないよ。」
「俺も何かしてあげられればいいんだけどなぁ。」
「身から出た錆だし、・・・・でも精神的には色々来るものがあるよ・・・。」
何も喋らない彼だ。下手すればすぐ癇癪に触りそうな気がする。というか怒鳴るとかそういうアクションが極貧であるためもうなに考えているのかちんぷんかんぷんだったりする。
・・・うん、疲れた。
「妙美ちゃんツカレタ?」しゃがみこんだ私の顔を覗きにきたのは蘭ちゃんだった。心配そうにこちらを見ている。
やべ、口に出していたようだ。
「ううん、大丈夫!」
そもそも大切な(意味深)幼馴染を目の前で一緒にいて疲れるだのいっていて、真琴君が不愉快になっていないか少し心配になった。
協力してくれようとしていても、なんだか心が痛む。
とりあえず鯖作戦にヒントがありそうだと告げお礼を言うと、
「そんなことくらいで役に立てるだなんて思ってもみなかったな。」
と遠慮がちに彼は言った。