第1章 穴無き穴と仲間達
水泳部は今日はオフらしく、私は真琴君と会っていた。
何のために?
ー・・・・作戦会議だ。
そう、七瀬遙暗殺計画の・・・。
#10 似たもの同士?
なんていうのは当たり前だが大いなる嘘だ。
じつは蓮君蘭ちゃんのお世話を頼まれている。
・・・というのも半分嘘で、買い物の帰りがけに小さな公園で遊ぶ3人の天使を発見。遠くで監視(のほほんと見てただけ。)していたところを小さな天使達に見つかり一緒に遊ばせていただけることとなったのだ。
それにしても本当に蓮君蘭ちゃんと遊ぶ真琴君は若い主夫に見えてどうしようもない。のでここにあの無愛想を投入したらどういう化学反応が起こるのだろうと片手間に邪なことを考えていた次第である。相変わらず可哀想な頭である。ふっ。(←)
「ねーねー次何する?何する?」
蘭ちゃんがご機嫌に私の足元を跳ねる。さっきは砂場でおままごとを一緒にやっていた。
うん・・・この頃の年だと、お姉さん、とか憧れたりするから私に懐いてくれてんのかな・・・?(とんだ自惚れ)
まぁ、それはいいとして。
「そうだなー・・・あ、ブランコ?」
私がそう提案すると、「え!乗る!」横から声が。
「じゃあ蓮君も一緒に乗ろう!」
「2人ともあんまり勢い良く走ると危ないって!」
近くで天使(大)と砂の山を限界近くまで盛り上げて楽しんでいた蓮君も一緒になってブランコの方へかけて行った。私と天使(大)も向かう。
2人はそれぞれの席へちょこんと座り、自分達で楽しみ始めた。
鉄の仕切りの向こうから、そんな姿を眺める。
「・・・癒し・・・。」
私がそう呟くと、隣の彼がクスリと笑いながらそうだねと返してくれた。
よいなぁー。私は当然の事ながら今悲しいことに家族がいない。周りに親切な人がいる故慣れ始めてきてしまっているわけだが。
半ばヤケクソになりかけた私は、どうやら異世界であることを認めて帰れる時を待っているらしかった。