第1章 穴無き穴と仲間達
それよりも七瀬君が待っていてくれたことにビックリだわ・・・。
遠い向こうで1人歩く七瀬君の背中を2人で眺めた。
「なんかほんとごめんね・・・。」
「いやぁいいよ。なんて言うか私も悪いんだし。」
うん、・・・・・うん?
私も悪いんだよねおそらく。
彼は水に何らかの価値観を持ち、ただの物質ではない何かを見出しているのだろう。謂わば好きなもの、のような。しかもそれは相当の思いであると窺い知れた。
それを突然現れた女が嘘半分で言ってたら気に障るのはちょっっっっっとだけ予想がつく。
「聞いても、大丈夫かな?」
おずおずと不安そうに問う彼に、事の馴れ初めを話す。彼は納得の表情と呆れ顔をし、あー・・・という声を漏らした。
「それは・・・ちょっとうん、関係の修復が難しそうだね・・・。」
ここでふと、思った事があった。
「真琴君は七瀬君とよっぽど付き合いが長いんだね。」
少し話を聞いただけで七瀬君がどう思うか思っているか全てわかった上で喋っているような彼を見ていると・・・・・・・・・・・・いやぁ実に良妻と言いますか(黙れ)
他にもここ数日家内で彼を見かけると随分ルーズな、というかマイペースな生活を送っているのが分かる。彼に世話係みたいなものの必要性を感じる時もある。
・・・いやほんと風呂に浸かってる時間の長いこと長いこと。何度溺れ死んでるのかと焦ったか。
「へ?んー・・・まぁ向かいの家同士で、小さい頃からずーっと一緒だったからかなぁ。」
「やっぱり幼馴染なんだ。」
「わかりやすいかな。」
「めちゃめちゃね。」それこそまるで夫婦に近いものを感じる!!!・・・まぁ私の腐った脳はほおっておいてですな。
「どうすればなんとかなりますかね、なんとか・・・。」
「なんとか、か・・・うーん・・・。」
「うーん・・・。」
2人で首を捻る。これは長期戦が予想されそうだった。
「あ!」先に明るい顔をしたのは真琴君。
「え、名案でもあるの?」
「・・・毎日鯖缶100缶プレゼント。」
・・・・・・・・・・・・・・えぇえ?