第1章 穴無き穴と仲間達
「ああそうだ・・・。でも最近学校来ないね?」
「来にくいんじゃないかな?自分の学校じゃないんだし・・・。ハルなんか知らない?」
今まさに部室を出ようとしていた遙は、ドアの金具につけたてを止める。
するとただ、
「嘘つきは嫌いだ。」
それだけつぶやいて、とっとと出て行った。
「・・・ハル・・・?」
「なんか、あったのかな。」
***
ー・・・次の日。
練習の終わった水泳部員たちは、各々が着替えの真っ最中であった。・・・といっても、怜以外を除いては未だにプールサイドに屯していた。
「ビックニュースって何?渚君。」
松岡江のその言葉に、渚は待ってましたと言わんばかりの嬉しそうな顔を見せた。
「ふっふっふっふ・・・ビックニュースその1!!」
傍聴サイドの1人を省いた2人は、息を飲むようにして彼に迫る。
「怜ちゃん、憧れの人ができちゃいました。」
「え。」と、部長。
「え。」と、マネージャー。
「「えぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!????????」」部長とマネージャーの叫び声が空いっぱいに広がる。
「ああああああああの完璧に堅物そうな怜君に!!!???」
「まさか、そんな、根拠とかは?」
「勘。」
「勘かよ!」
「どんな人!!?どんな人!!!???」江が目を輝かせた。
「それがビックニュースその2!・・・・うぉっっほん・・・・。」
もったいぶるような間が空いて、2人が痺れを切らして早くと急かす。
どぅるるるるるるるる、と、渚が貯めるようにドラムロール(口)をした。
「たえちゃんです!!!!!!!!」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ!!!!??????!?」」