第1章 穴無き穴と仲間達
さすが男子というべきか、彼小さい割にはしっかり重い。足をバタバタさせるから尚更下敷きの私に負荷がかかっている。
ああごめんね、と彼はやっとの事横に退いてくれる。ハァと呼吸を整えると、とりあえず真っ先に入り口に立っている家主の方に「おはようございます。」と挨拶し、葉月君の方へと向いた。
「で、えっと・・・今から泳ぎにいくってことですか?葉月君。」
「・・・その敬語と苗字呼び、僕やだ。」
ぷーっとあからさまにほおを膨らませて不服そうにする。そこに上目遣いを加えるもんだから、彼は何かテクニシャンの類なのかと思った。
うん、可愛い。もう私そればっかだな。(呆れ)
「だって、そんなに仲良く「もう僕は仲いいつもりだよぉっ!!!!」あ、はい・・・。」
余所余所しいのは嫌いみたいだ。ご立腹である。何なんだこの子の勢い・・・。
「じゃあ・・・渚君、今何時?」
「うんとー、10時。」
「えっ!!!」
私、そんなに寝てたんだ・・・!
「わかった!準備するから外で待ってて。」
「わぁー、妙美ちゃん髪ぼっさぼさー。」
あははじゃない!!!!それを整えたり着替えたりするから外でと言っているのだぁぁあああ!!!!
いた仕方ない、実力行使あるのみ・・・!
そんなことを思いついた私は、小さい彼を強引に立ち上がらせ、グッと部屋から押し出す。
彼が小さいゆえにできたことだ、それと私の火事場(?)の馬鹿力。男の人やっぱり重いもん★←
扉をバンッと閉めて、支度を始めた。
・・・ー15分後。
着替えも荷支度も若干の部屋掃除も済ませ、後は顔を洗うだけにして出る。
予想で洗面台を探すと、何と案外すぐに見つかり水で顔を洗ってとっとと外に出た。
「制服じゃなくても大丈夫なの・・・?」
何故なら2人がバッチリ制服だからである。
「どーせ水着になるんだし大丈夫大丈夫!それにプールなんてそう見にくる人もいないしね!」
そして3人、肩を並べて学校へと向かった。
間じゅうずーーーーーーーーーーーーっと、渚君が喋り続けていたが正直暑くて半ばそれどころじゃない。元気だなぁ・・・ともう感心してしまう。
「そういえば、妙美ちゃんって競泳出てたんだよね?専門教えてよ。バッタ?背泳ぎ?」
その言葉に、さっきまでの気だるさがとんだ。