第1章 穴無き穴と仲間達
真琴君だった。申し訳なさそうな顔が彼の親であるかのような思いにさせた。やっぱり保護者の顔付きなんだな、真琴君は。
「だ、大丈夫多分・・・。」
「うーん・・・いい奴であることは確かだから、そんなに怯えないで。」
「うん・・・。」
「じゃあ、何かあったら連絡して。俺は蓮と蘭を寝かせないといけないからもう行くね。じゃ、おやすみ。ああそうだ、ハルならもう今お風呂行っちゃったから。」
彼を玄関まで送り、手を振って別れを告げる。
私は風の速さで部屋へ戻り、扉を閉めた。今日はもう寝よう。お風呂はやめよう。
あ、江ちゃんと葉月君には連絡入れなきゃ・・・。
江ちゃんには無事ついたこと、葉月君にはメール送らせていただいたことと、水泳について連絡をいれる。
それを終えるとさっき指定された戸襖から敷布団一式を取り出してしき、新品のパジャマに着替えた。
新しいパジャマの着心地なんて気にもとめずに、部屋の明かりを消して速攻で布団に潜ったのであった。
***
「おい、起きろ。早く起きないと渚が。」
「・・・・っ。」
「妙美ちゃーーーーーーん!!!!!!」
バフンッ!!!!
「おごぉおぉっ!!!!!!!」
朝ー・・・静けさと小鳥の囀りで起きるという理想は憚られ、代わりに腹への強い攻撃(物理)が私の目覚めを誘発する。否、誘発ではないもはや叩き起こされたそれと同意である!!!!!
なんだ・・・?宣戦布告か・・・?ん・・・?
「お、重い・・・。」ゆっくりとまだ重い瞼を開くと、至近距離にはクリクリした目の印象的な、童顔キュートボーイの見目麗しい顔面。オプション、笑顔。
「ぅぇえっッ・・・!!????」
「おはよっ!メール見て飛んできちゃったぁ!今日は休日部活で人目もあんまりつかないしいくらでも練習一緒にできるよ!あ、因みに場所は学校のプールね。マコちゃんは今日は用事でこられないって。まぁ今日はほぼ自主練だし部長いなくても大丈夫だよねー。江ちゃんはついたらメールくれるって言ってて、あーハルちゃんどうする?来るよね?」
「行く。」
「あのっ・・・いいからちょっとッ・・・葉月君おりてっ・・・くだッざいっ!!!!」