第1章 穴無き穴と仲間達
と、そこには、裸の男。
「ぎゃああああああああ!!!!!変態ぃいいいいいいいいい!!!!!!」
再びガツンッ。今度は額がやけに痛い。
「いっ・・・。何すんの!!」
「溺れてたのを助けたのに変態とは何。」
見事に桶で叩かれていた。よくよく見てみると、彼は下に水着・・・?のようなものを履いていた。これは、テレビとかで見たことがある。オリンピック選手とかが使ってるピッチピチの水着だ。あまりまじまじと見るのはやめた。理由は明白である。(察してください。)
上半身も、結構イイがたいしている。
「・・・・何。」
「え、あの、あ、いやなんもないっす・・・。」
流石に初対面でいいがたいしてますね最高ですなんて言えない。
そういえば彼はさっき、溺れていたのを助けたと言っていた。
(そうだ・・・・。)
段々思い出してきた。そう、私は悟りを開きかけていたのであった。私は昨日、夜にこっそりと忍び込んで試合のための猛特訓を一人でやっていたはずだった。それであの塩素臭を消そうと、更衣室のシャワーを使っていた途端疲労がどっと押し寄せて、目をつぶったら息が全然できなくなっていた。水の中でもがきながら、水について考えていた。
「うちの学校のプールで一体何してた。」
「え?」
彼があまりにも淡々にそんな事をいうもんだから驚いた。私は確かに自分の学校のプールに忍び込んだはずなのに。彼はうちの水泳部の1人だったんだろうか。
「君水泳部にいたっけ?」
でも見覚えがない。まさか今まで休んでたとか?
「あー・・・君何年?」
「二年。」
「名前は?」
「七瀬遙。」
(七瀬・・・?うちの学年そんな人いたかな。)
それより部員でもあんな時間にプールにくるってことは、よっぽどのプール好きか彼女といちゃらぶしにきたクソリア充だけだ。(非リア故の僻み。)プール好きなら私の忍び込む日と被って知り合っていてもおかしくない。つまり後者に違いない!彼女はきっと逃げたな・・・?
ここは、水泳部員として注意しなきゃ!
「ダメだよー、あそこはカップルのためにある場所じゃないんだから!彼女さんはもう帰った?」
「・・・・は?」
え、何この人。ムカついてるっていうより軽くなに言ってるんだこいつ的な顔してる。まさか的が外れたか。ならば凄まじい失礼と私の痛い子認定が決め込んでくる。