第1章 穴無き穴と仲間達
(死にたく、ない・・・!!!)
もがく、足は底へつく。呼吸器が沈む。浮き上がる。しかし沈む。足に何かついているわけでもないのに、だ。そして溺れている間にも、案外私は頭では哲学的であった。死にかける時人は悟りを開いて楽になろうとするらしい。
ああ、星空が見えてきた。
ブルーに差し込む月光が揺れている。美しい。
音ならぬ音も消えて行く。本当の静寂がやってきて、泡がフェードアウトしていった。
(我が生涯に・・・一変の・・・・悔い・・・・・・なし・・・・。)
***
おばあちゃん・・・、やっと会えたね・・・。うん、特に思い入れとかなかったけど、苦しかった後だから会えて嬉しいよ・・・。家族だもん。え?思い入れがないってどういうことかって?いやだっておばあちゃん怒ってばっかりだったからさぁ・・・・。
え?ばあちゃん?いや怒りすぎでしょ怖いよ。何それバケツ?え、もう水とかこりごりなんだってば・・・。
「う、うわぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!おばあちゃぁぁああああああああああん!!!!!!!!!」
全身があの液体の感触をさせていた。
ガツンッ、という音と共に後頭部に激痛が走る。痛い。そして鼻も痛い。
(何これ・・・?)
顔を手で触る。
私は、これ生きているのか?濡れている肌が指先にある。
「・・・大丈夫?」
「え・・・・?」