第1章 穴無き穴と仲間達
「たえお姉さんよろしくね。」蘭ちゃんがお兄さん顔負けの照れたような笑顔を浮かべる。
「一緒に遊ぼ!」
という早速戦闘体制(?)な蓮君に手を引っ張られながら、四人ぶらぶらと歩き始めるのだった。
***
「あっ、妙美さーん!!・・・・ってあれ、部長ぉ!!」
江ちゃんと待ち合わせの時間。
先程まで橘家の緊急おつかい騒動の対処を手伝っていたため、三つも重い荷物を作ってしまった。私の手にはそのなかで1番軽い物がある。無理やり彼に手伝わせろといって半ば奪ったものだ。手が空いているのに彼にすべて持たせるのは忍びない。
それによってまたいやーな誤解を生むわけだが・・・いや荷物持ってなくとも会計の時レジの叔母さんにまで家族かなー的な目で見られるし私は吹っ切れたよもう。
「コウちゃん・・・。」
「何で部長そんなに疲れてるんですか?あ、下の子も一緒なんですね。・・・うわぁーそれにしてもちょっと離れてみると家族みたいですね。」
「もぉー!!!コウちゃんまで!」
「・・・・江ちゃん、今若干それで疲れてるんだよ。っていうかそんなに老けて見える・・・?」
「え?いやぁ、まぁ老けて見えるっていえば老けて見えー・・・すいません、ノーコメントで・・・。」
「お兄ちゃん、この人がカノジョ?」
マコお兄さんの悲痛な叫び(小音)が聞こえてくるのも当たり前であった。
私が今日からしばらくは七瀬君の家に半下宿(のつもりだ。)することになったことを知った真琴君は、家が分からないだろうから送って行くと言ってくれた。
とりあえず、5人でぞろぞろと一緒に帰る事に。
「それにしても、なんでハルの家に決めたんだろうね。やっぱり1人暮らしって点が大きいのかなぁ。」
確かに、その通りだ。それより私は真琴君がなぜ心配そうにしているかが全くわからない。え・・・まさかホモなんですかねすいません冗談です。
んー、と言って江ちゃんが後に続いた。
「多分そうでしょうね。それに遙先輩なら危なくないでしょうし。」
「あぁ・・・まぁ・・・うん・・・。」
私にゆるりと刺さる生暖かい視線・・・。
どういう意味だ。意味深過ぎて全くわからん。