第1章 穴無き穴と仲間達
『ありがとうございました。すいません、お礼だけ差し上げるためにお電話しました。』
「律儀にありがとうございます。」
『では失礼します。』
「はーい。」
電話を切ると、橘家ご兄弟が不思議そうな顔をしている。
「さっき落し物を拾ってね。お礼の電話。」三人揃って納得の顔。なかなか面白いなこの人たちは。
「そっか。・・・あ、で、改めてなんだけど双子の兄弟の蓮と蘭。ほらご挨拶して。」
「こんにちは。カノジョサン。」
「こんにちは。」
「だから2人ともぉ!いい加減にしないとお兄ちゃん怒るよ!」
ふふふー、やっぱ和みますな。一言除けば★
迷子になって大慌てだったけど、江ちゃんやこの人たちに会えたのはよかった。
しゃがみこんで背の低い2人に視線を合わせてやる。小さい子にはこうするとよいとかどっかできいた。
「私は陽野妙美。お兄さんの新しいお友達でいいのかな?よろしくね。」
「あっ・・・。えっと、ごめんなさい。」
突然の余所余所しい態度に私の謎のボルテージは振り切れ寸前である。怒られるかと思って予想外にでも思ったのかな。大きな彼の影に、2人一緒に逃げ込んで行った。
くっそ・・・・クッソ可愛い!!!!!!天使かよ!!!!!!!クソガキとか思ってたけどうん可愛いよ!!!!!
「ううん!!!いいんだよぜんっぜん怒ってないし!!!!!だからねーお姉さん2人がお兄さんの後ろに隠れるんじゃなくてー、こっちきて欲しいなー。」
「妙美ちゃん、顔なんか崩れてるよ・・・?」
兄に引き顔(もう彼に出会って何度目か)をされたのも御構い無しにおいでーと両手を広げる。気分的になんだか癒し系が多くてほわほわしている。うん、毒された。私、今なら何でもできる気がする。(断言)
ちょっと不安そうにしながらも、2人はじょじょに近付いてきた。小3かー、児童といってもまだまだ小さい子だなぁ。小4あたりから急激にませだしてくるとか考えたくない。・・・嫌でもこの2人にならなに言われてもいいやー!!!
ほわわんオーラが完全に乗り移り出した所で、2人は私の前にくる。