第1章 穴無き穴と仲間達
男性と!?仮にも、男性と乙女()が!?一つ屋根の下で!?少なくとも数週間酷くてもっと何ヶ月も一緒に暮らすなんて危ない!!・・・じゃなくて、モラルがない!!と世間体から言われてしまいそうだ・・・。しかも先方の親はなぜ承諾した!!??もうちゃんと許可を取ったかすら正直怪しいところである。
「私・・・やってけるのか・・・?」
なんてしょーもない少女漫画のようなひとり言こそすれ、彼は現れたのである。
「こんにちは。妙美さん。」
「真琴様・・・!」
「へ・・・様・・・?」
思わず口を滑らせたのはこの際なしにして、彼はいつの間にやらカフェの中に入り、私の向かい側に座っていたのだ。吹き抜けのカフェだ。出入りもし易い。
「今日は何しに?」
「んー・・・簡単にいうと、下の兄弟達の面倒を見てるって感じかな。」
へー・・・お兄さんだったんだ。達、と言うからには複数人数連れているんだろう。大変そうだなぁ。
「って、え?それで、ご兄弟さんは・・・。」
「髪切ってるよ。順番待ちで結構かかるみたいで・・・でも今は預かってもらえるんだね。ちょっと息抜きができて嬉しいー・・・あれ、そういえば妙美さんはなんで?」
「私は江ちゃんとお買い物です。しばらくは確実にこちらで過ごすので日用品を揃えに。今は分かれて行動してるんですけど。」
「そっか。それにしても異世界がどうのって、無茶苦茶な話になってきちゃったね。」
その言葉で、江ちゃんが撫でてくれていた頭の感触と、伝う涙を思い出す。
「もう考えるのめんどくさくなって、やめました。今はとりあえず、って意味ですけど。だから今は、葉月君の提案を糧に目標を作って生きるつもりです。」
人間って案外図太いんだな。頭の中でそんなことを思った。
「妙美さんはたくましくてかっこいいね。俺だったら絶対怖じ気ずいちゃうよ。」
うぐ、真琴様の天使の微笑みクラッシュが・・・!!!ここの人たち笑顔がみんな眩しい!!1人年中無表情っぽいのはいるけど。(誰とは言わずもがな。)
「ありがとうございます。」
「ううん。一緒にゆっくりさせてもらってもいいかな?」
「もっもちろん!」
「じゃあ俺、飲み物買ってくるね。」
彼が席を立った。
***