第1章 穴無き穴と仲間達
ふふふと女子らしい会話になっていく。私はこの実妹のような彼女といるのに、暖かさとかアットホームな気分を味あわずにはいられなかった。私がホームシックにならないのはこの子のおかげかも・・・。
本当に普通な女の子の江ちゃんは、一緒にいるだけで気持ちがパァッと明るくさせる能力でも持っているのか・・・。
「・・・あ。」
外に目をやった江ちゃんが、急に一点で視点を止める。
「お、お兄ちゃん!!!!!」
「え!?」
素早くその場を立ち上がり、店の外に出て行く。
「ちょっと江ちゃん!!!!」
さっさと会計を済ませ後を追う。
同じ髪色の、背丈が異なる2人。私はその2人を少し距離をおいて見ていた。
物陰に隠れるようにしてそっちを見る。
うわぁ、さすが兄妹というべきか、雰囲気はまるっきり酷似していた。
そんな風に1人ふむと関心を示していると、でかい方の赤こげ茶にじとりと睨まれ指さされたのが分かった。どうやら妹の知り合いなのかと確認をとってるみたいだ。
「ちょ、妙美さん!出てきても大丈夫ですって。」
そう呼ばれ近付く。
「もういい。俺は行く。じゃあな。」
彼は私が寄って行こうとした途端に踵を返した。ポケットに手を突っ込んで去って行くその大きな背中に思わず飛び蹴りしたくなる一瞬であった。
き、傷つく・・・・!!!!近づいた瞬間背を向けてくるとか、こう、精神的にくるものがあるんだね!
靴を脱いであの背中に思い切りぶつけたくもなったが、江ちゃんの物憂げな瞳がそれをさせない。
「ごめんなさい。ああいう人で・・・。」
「う、ううん・・・。大丈夫。」
く、江ちゃんにかなしそうな顔をさせるのは少々憚られる。というよりも私の年上ごころ(?)に火がつき燃え上がってしまう。
そう思った私は、引きつってないか心配になりながらも笑顔を見せようとするのだった。
「んー・・・と、あ!!!そうだ!!」
彼女は何か思いついたような顔を見せて、可愛らしい笑顔を見せてくる。
不覚にもどきりとした私である・・・。やっぱり、私レズゥ・・・?(若干の諦め)